トランプ関連記事が多い中国紙も探せばある 「米政権との闘いに備えよう」等 元滋賀県立大学教授・荒井利明
専欄習近平の中国はトランプの米国とどのように付き合っていくのか。それを考える手がかりがないか、中国共産党機関紙「人民日報」を開いてみた。
トランプ政権に関するニュース報道はあるが、トランプ政権や米中関係を論じた社説や論評はわずかしかない。党機関紙という性格上、習近平指導部の指示を受けて、あれこれ論ずるのを避けているようだ。
だが、「人民日報」系列の国際情報紙「環球時報」は、「人民日報」とは大きく異なり、連日、トランプ関連のニュース報道、論評、社説を掲載し、「特朗普」(「トランプ」の中国語表記)であふれている。
習近平とトランプの電話会談を論じた社説(2月11日付)は、大統領就任の前と後ではトランプの中国をめぐる発言に大きな変化があることを指摘し、平和と協力、話し合いと妥協を訴えている。
これはいわば「人民日報」的な社説だが、「環球時報」は党機関紙でないこともあってか、露骨なほどに明快な主張もみられる。
たとえば、ワシントンの中国大使館で開かれた春節(旧正月)を祝う行事に、トランプの長女、イバンカが娘を連れて出席したことに触れながら、米中関係を論じた社説(2月3日付)は、「無理難題には断固反撃すべきだ」「花を手にすべきだが、棍棒(こんぼう)のあることもはっきりと見せるべきだ」「中国はメキシコではなく、まして日本やドイツではない」と主張している。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を論じた社説(1月25日付)では、今後に予想される貿易交渉に触れながら、「トランプ政権との闘いに備えるべきで、闘いをもって和を促すべきだ」と主張している。
トランプの大統領就任からの1カ月間を論じた社説(2月21日付)は、決して順調な出だしではないが、「彼は普通の大統領とは異なり、その打たれ強さは並大抵ではない」と述べている。
また、トランプの大統領就任演説を論じた社説(1月22日付)は、従来は政治制度や価値観の違いが陣営を分ける主な基準だったが、トランプ時代には国の経済的利益が主な基準になるかもしれないと分析している。
こうした主張が習近平政権の意向をどの程度反映しているかはわからないが、トランプ政権へのメッセージが込められているのは間違いない。(敬称略)
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