発がん性物質が検出されたとして回収された農心の即席ラーメン「ノグリ」のパッケージ(農心ジャパンのホームページから)【拡大】
ところが10月23日になって一部メディアが「農心商品から発がん性物質が検出された」と報道。翌24日に韓国国会で食薬庁長は「健康に害はない」と答弁しながら、野党議員が厳しく追及すると、「是正措置を取るべきだった」と弱気に転じ、実務方としっかり協議することなく、25日には自主回収を命じる方針を発表したのだ。
ベンゾピレンは、がんを誘発する環境ホルモンであるものの、肉の焦げや排ガスにも含まれ、日常生活の中でもある程度の摂取は避けられない。農心側は「粉末スープから検出された量は豚の焼き肉を食べるのに比べて1万6000分の1に過ぎない」とも説明する。
特に回収騒動が海外まで及ぶと、食薬庁の場当たり的対応に対し、メディアや専門家の非難は高まった。食の安全に関する専門家団体などが「科学的根拠がないまま、商品を回収させ、社会的損失を招いた」と批判の声を挙げた。
ただ、6月に発がん性物質が検出された際、事実と安全性について消費者にきちんと説明しなかったのは業者も食薬庁も同じだ。「業者と監督省庁が癒着し、事実をあいまいに処理した」と勘ぐる声もある。
談合による値段の不当つり上げに続いて食の安全に対する不安をかき立てられ、右往左往させられたのは消費者だ。今回の騒動が日本同様にインスタント食品に依存し過ぎる現代韓国の食生活を見直すきっかけにでもなれば、無駄な空騒ぎとはならないだろうが。