推察するに、共産党大活躍の抗日戦争ドラマであれば、表現の自由がある程度保障されるということなのだろう。表現者たちの怠慢のせいで、日本への憎しみが無意味に、しかし確実に増幅されていることに心底憤りを覚える。
そこで、ある中国人に聞いてみた。「普段、抗日戦争ドラマ見てる?」。
「嘘ばっかりだから見ない。当時あんなに共産党が賢かったわけない」
少し安心した。日本人の私に気を使っているのかもしれない。実際には日の丸が燃やされるシーンをみて留飲を下げる中国人もたくさんいることだろう。
「小日本」と30回
尖閣諸島をめぐる反日デモが広がっていたとき、大学の授業で、ある教授が日本のことを「小日本(シャオ・リーベン)」と連発していた。腹が立って「正」の字で数えてみたら、2時間の授業で約30回言っていた。
抗議しようと思って、ある中国研究者の日本人に相談した。「中国人はそれほどの悪意をこめず、気楽に使っていることも多い。時期も時期だけに言動は慎重にしたほうがいいですよ」。至極大人の助言を頂いて、本音の講義が聞けなくなるかもしれないとも考え、そのときは我慢した。