黒田東彦日銀総裁【拡大】
今後の焦点は、長期金利はどこまで上昇する可能性があるかに移るが、その際、2つのハードルがあると指摘される。一つは金融機関が日銀に国債を売却する際のインセンティブ。金融機関の調達金利はメガバンクで0.8%、全銀ベースで1.0%である。
これ以上の価格でなければ金融機関は日銀への売却ニーズが生じない。もう一つは国の予算上の国債の想定利回り。今年度は1.8%に設定されている。10年物国債の利回りがここの水準以上に上昇することがあれば、国は国債の利払い費について予算に穴が開くことになる。
国は国債の利払いに備えた想定金利(積算金利)を、2013年度予算案から従来の2.0%から1.8%に引き下げた。国債の利払いのために財務省がプールする準備金を少なく見積もることで当初の予算規模を低く見せる「裏技」である。
しかし、政府は一方で、日銀に2%のインフレターゲットを求めており、デフレからインフレへとシフトすることで、今後、金利は上昇する可能性が高い。