黒田東彦日銀総裁【拡大】
「想定金利はむしろ引き上げられてしかるべきだ」(民主党議員)と言っていい。インフレターゲットとは矛盾する措置である。
財務省は金利が上昇した場合でも国債の償還に支障が出ないよう、利払いの想定金利を02年度以降2.0%に設定している。しかし「民主党政権との違いを印象付けるため安倍政権は前提となる想定金利を下げることで国債費を圧縮したようにみせた」(民主党議員)というわけだ。
政府関係者は「赤字国債の増発、とくに復興財源としての赤字国債の増発に対し市場が過剰反応しないよう配慮した」と説明するが、表面を取り繕った感は否めない。
長期金利はここ数年、低下基調にあり、現在の10年物国債の利回りは0.8%前後。財務省は当初予算案の前提である想定金利(2.0%)と実績との差額は数兆円に及ぶ。
12年度も1.4兆円ほど余った。本来であれば、この余剰分は国庫に戻すべきものであろう。(ジャーナリスト 森岡英樹)