その一方で、数年来にわたって世界経済をリードしてきた新興諸国の景気が概して減速傾向を示している。また、欧州に関しても、ドイツの選挙結果とその後の議会運営の行方を見届けたいというムードが強まっていた。こうしたことから、なかなか方向感が定まらない相場展開が続いてきたわけだ。いずれも極めてネガティブな悪材料ではない半面、明確な好材料も見当たらず、マーケットは次なるテーマを見極めようとしている。
ここでポイントとなってくるのは、ファンダメンタルズ面をどのように捉えるかだ。昨年11月から今年前半の株価上昇は、日本だけにとどまらず世界的な現象であった。米欧日の3極で金融緩和がしばらく続くとの見通しから、グローバルに株式市場への資金流入が顕著になっていったのだ。しかも、実体経済もさほど悪くはなかった。こうした流れは新興諸国にとっても追い風となり、日本ではアベノミクスへの期待も高まった。
QE3の縮小観測は当初の見込みよりも早く浮上してきたが、その背景のひとつとしては、FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が年内限りで退任することが挙げられる。量的緩和という歴史的なトライアルを始めたのが彼であり、自分自身でその出口を模索するとの見通しが広まっていったわけである。