回復傾向にあるとはいえ、米国の個人消費はリーマン・ショック以前の水準まで戻っているわけではなく、潜在的な供給過剰が続く。こうした需給ギャップを抱えながらの景気回復であり、決して金利が本格上昇する情勢にはない。こうした中で雇用も改善しており、米国の景気回復が世界経済に最も大きなインパクトを与えることとなるだろう。
これに対し、華々しさには欠けるものの、日本においてもかつてない好循環が発生している。これまでのデフレ下では、個人も企業もリスクを取らずにキャッシュを抱えておくのが最善だった。ところが、足元では物価も上昇し始めており、逆にリスクを取って資金を積極的に投じるべき環境が整いつつある。
もちろん、来年4月の実施が決定した消費税増税の悪影響を懸念する声が出ているのも確かで、実際に過去2回はその後に景気が失速した。だが、導入時はくしくも株価の暴落(バブル崩壊)の年と重なってしまったし、次は金融危機の表面化も実体経済にダメージを及ぼした。今回は増税とともに経済対策が打たれるし、景気にはさほどマイナスに作用しないはずだ。