2020年の東京五輪に向けて各地で自治体と業界がタッグを組んで特産品の売り込みなどに動き出した。選手村の食堂で使う食器の採用を求める洋食器の町をはじめ、畳用のイグサ産地の自治体では関係者に早くもアピール攻勢をかける。また鋳物の町では新国立競技場に設置される聖火台の受注実現に力を入れ、麻織物の特産地は「開会式で着用する日本選手団のユニホーム素材に」とPRするなど、あの手この手で商機に結びつけようと意気込んでいる。
町おこしチャンス
「五輪は産地を潤し、町おこしを行う千載一遇のチャンスだ。(地域の)沈滞ムードを打破したい」
新潟県燕市産の金属洋食器や厨房(ちゅうぼう)用具などを売り込む燕商工会議所の田野隆夫会頭は、“五輪特需”に期待感を示す。
東京五輪では、都内に約1万7千人が宿泊可能な選手村が建設される予定で、食堂で使うスプーンや鍋などの特需が見込まれる。それだけに、燕市では行政だけでなく地元業界団体などを巻き込んでアピール。2月にも大会組織委員会などに提案するとしている。
熊本県八代市も選手村での特需に照準を当てている。きっかけは林芳正農林水産相が「選手が使う施設をなるべく木で造り、畳の部屋で落ち着いていただく」などと述べたことだ。
国内のイグサ生産量は、前回の東京五輪が開かれた昭和39年ごろは約10万トンだったが、畳離れや輸入品増加などで平成23年には約1万トンまで減少。有力産地だった岡山、広島などの収穫量が激減し、今や国産シェアは熊本県が96%だ。最大のイグサ産地、八代市の中村博生市長はイグサ製タペストリーを林農水相に届けるなど、早くも“営業攻勢”を強めている。