日銀によると、一円玉の流通量は現在、389億枚と硬貨で最多だ。ところが、小銭不要の電子マネー決済が普及したこともあり、2010年初頭から記念販売の貨幣セット向けを除き、一円玉の製造は止まっていた。4月に実施される消費税率の引き上げで、久しぶりにスポットライトが当たるというわけだ。
財務省には、手痛い教訓がある。1989年4月に消費税が税率3%で初めて導入された際、一円玉の需要が急増。小売りや金融機関などで、当時は288億枚の流通量だった一円玉の深刻な供給不足が生じた。財務省にとって、かつての二の舞いを防ぎたい思いは強く、「貨幣の円滑な供給を守るため」(理財局)として、一円玉を1~3月にまず約2600万枚、新年度に1億6000万枚の追加発行を見込む。
国の肝煎りで一円玉の流通量が増えることが予想される中、これを商機として活用しようという動きも出てきた。