一番早く審査が進む九州電力川内原発。左から1号機、2号機【拡大】
◆発電コストの上昇、家計や企業を圧迫
日本国内では現在、全国にある48基すべての原発が稼働を停止するという異常事態にある。大震災前には発電全体の3割を占めていた原発の運転が止まり、その代替電源として火力発電所のフル稼働が続いている。今では化石燃料を使う火力発電の比率は全体の9割に及び、石油危機時を上回って過去最高水準にある。これに伴って液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入が急増し、経済産業省の試算によると原発停止に伴う追加燃料費は、円安も加わって年間で3.6兆円に達するという。これは1日あたり100億円の国富が産油国などに余分に流出している計算だ。これにより、昨年度の貿易赤字が過去最大となったことも忘れてはならない。
発電コストの上昇は、電気料金の引き上げとなって家計や企業を直撃している。家庭用料金をみると、大震災前と比べて東京電力で4割、関西電力でも3割近く上昇している。中部電力も5月から料金を引き上げるが、これによって大震災前より2割超上がるという。しかも電力各社が認められた値上げは、一定の原発再稼働を前提にコストを計算したものだ。再稼働が遅れればさらなるコスト上昇を招くことになり、再値上げも現実味を帯びてくる。
すでに北海道電力などが再値上げの可能性を表明している。安倍政権は消費税増税による景気の腰折れ阻止に全力をあげる構えだが、原発の早期再稼働を通じて電気料金の上昇を避けることにも取り組まなければならない。