産業界で関税撤廃を求める声が強まる様相すらあることもオバマ政権の妥協を難しくしている。米国、豪州、カナダ、ニュージーランドの牛肉生産者団体は23日、「TPP合意は牛肉へのすべての関税を撤廃する高水準であるべきだ」とする共同声明を発表。豚肉関連業界でも関税撤廃にこだわる声は大きい。
こうした反発を踏まえ、米議会でも慎重論が強い。通商政策を扱う上院財政委員会のワイデン委員長(民主党)は「悪い合意ならしない方がいい」と安易な妥協を牽制(けんせい)。TPPで市場開放を迫られる米自動車産業が警戒感を強めていることもあり、民主党のリード上院院内総務は大統領に通商交渉での強い権限を与える「貿易促進権限(TPA)」法の審議を棚上げしたままだ。
オバマ政権はTPPで日本市場への輸出拡大だけでなく、知的財産保護などで米国主導のルール作りも目指す。ここに来て日本の立場に理解を示すのは、経済成長の後押しが期待できるTPP合意を11月の中間選挙に向けた得点にしたいとの思惑があるからだ。しかし行きすぎた譲歩は議会との関係を難しくしかねず、日本との間の溝は埋め切れないのが現状といえる。(ワシントン 小雲規生)