カナダの首都オタワで5日に始まった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加12カ国による首席交渉官会合は8日、全日程のうち前半の日程を終えた。関税をめぐる日米間の協議では依然として膠着(こうちゃく)状態が続くほか、12カ国間では難航分野の本格協議が棚上げされるなど、対立解消の難しさが浮き彫りになっている。労働など一部の分野では進展がみられるものの、年内大筋合意への一里塚となる早期の閣僚級会合開催の見通しはつかないままだ。
「米通商代表部(USTR)は合意に向けた慎重姿勢を崩していない」。日本の交渉関係者はTPP進展の鍵を握る米国の対応に変化の兆しを見いだせないままだ。
オバマ米大統領は会合を2週間後に控えた6月20日、11月までに議会に協定文書案を示すと表明し、年内大筋合意に前向きな姿勢を示した。しかしオタワでは「米国が牛肉や豚肉などの関税について厳しい要求を突きつけている状況に変化はない」(交渉筋)。日本の鶴岡公二首席交渉官と米国のワイゼル首席交渉官との会談でも関税協議は行われておらず、事態の進展はみられないままだ。