自衛隊法76条・78条を現実的に運用して「個別的自衛権」を駆使する手法を選択せず、立憲主義、民主主義に反する閣議決定による憲法解釈変更という手法を用い、「集団的自衛権」を行使可能とした判断の適否は、後世の歴史が証明することになる。
◆密接な関係にある国
個別法制の検討を進める一方で、将来の禍根を極小化するため、さらに深く論争すべき論点は少なくない。最たるものが集団的自衛権の定義である。
現在の政府見解は「自国と密接な関係にある国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利として解されている」としている。
問題は「密接な関係にある国」の定義だ。3月20日の予算委員会で外相に「定義は何か」「定義をオーソライズ(公式に確定)するのは誰か」と質問したところ、いずれにも答弁できず立ち往生。横で聞いていた首相も上の空。委員会終了後、首相・外相に「重要な論点なのでぜひ回答願いたい」と要請したところ、即日、国家安全保障局と外務省が来室。官房長官答弁書(想定問答)を資料として提示してくれた。
いわく「『自国と密接な関係にある国』については、一般に、外部からの武力攻撃に対し共通の危険として対処しようとする共通の関心があることから集団的自衛権の行使について要請又は同意を行う国を指すものと考えられ、条約関係にあることは必ずしも必要ないと考えられている」。
読者はどう受け止めるだろうか。筆者は「密接な関係にある国」との間には、日米安保条約のような条約関係が当然必要と考えるが、現在の政府見解はそうではない。この定義では、米国以外の国に対しても「集団的自衛権」を行使して支援する可能性があることを意味する。