外務省から「『条約関係にあることは必ずしも必要ない』との解釈はニカラグア事件の国際司法裁判所判決に基づく」との説明があったので、「その根拠も示してほしい」と要請。外務省が提出してきた根拠は書籍(「国際法」中谷和弘・植木俊哉著、有斐閣アルマ)の該当部分のコピー。しかし、該当部分を読んでも同判決からの引用と確信できない表現だったので「判決原文に当たって確認してほしい」と再要請。
すると、担当課長から送られてきたファクスには「確認したところ、同判決にはそのような明示的な記述があるわけではなく、当該記述は同著の著者の解説であることが判明致しましたので訂正させていただきます。ミスリードした説明となってしまい、申し訳ございません」(原文ママ)と記されていた。
要するに「条約関係にあることは必ずしも必要ない」ことの根拠はないということだ。その内容が政府見解とされていることは問題だ。外相に「定義を誰がオーソライズ(公式に確定)するのか」と聞いた趣旨は、国際的にコンセンサスが成立していないことについては「国が自らの意思で責任をもって判断しなくてはならない」ということだ。外相は、外務省職員が文献に当たって検討している実態を直視し、大いに反省しなければならない。
筆者としては、密接な関係にあり、支援するかもしれない対象国は、条約関係などによって明確にしておくことが必要と考える。今後も安全保障政策を巡る現実的かつ論理的な議論を続けなくてはならない。
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【プロフィル】大塚耕平
おおつか・こうへい 1959年生まれ、名古屋市出身。早稲田大学政経学部卒、同大学院博士課程修了(学術博士、専門はマクロ経済学)。日本銀行を経て2001年から参議院議員。内閣府副大臣、厚生労働副大臣を歴任。早稲田大学と中央大学大学院の客員教授。著書に「公共政策としてのマクロ経済政策」など。