ただサムスン電子や現代自動車への影響は気になるところだ。稼ぎ頭のスマートフォン(高機能携帯電話)が不振で、経営に陰を落とすサムスン電子にさらに税負担が増えることになれば、投資家らの不安につながる。現代自動車も、欧米や日本メーカーとの環境技術をめぐる競争に備えた費用を残しておかねば、先行きはおぼつかない。
日本で内部留保課税が問題視されたのは、経済を牽引する企業の成長性を損なう恐れがあったからにほかならない。
家計に恩恵なくば、減税なし
韓国でも日本と同様の懸念があるはずだが、それでも政策転換に踏み出そうとする背景には、2008年からの法人税減税による韓国経済への効果が小さいとの評価があるようだ。
ハンギョレ新聞(電子版)は、5年間で割り引かれた企業の法人税の金額は28兆ウォンを超えたが、「積極的な投資や働き口創出につながらなかった」と指摘。崔●(=日の下に火)煥・経済副総理は報道機関経済部懇談会で「法人税を引き下げたが、企業は投資を増やさなかった。企業所得還流税制の導入は、企業の成果が家計に回らなければ、法人税引き下げの恩恵は与えないという意味」と話したという。