ただし、国有企業による本業以外の分野への投資総額は今年1月時点で17兆ドンともされ、依然として巨額の資金が本業とは無関係の分野に流れているとみられる。
今月、繊維大手ベトナム繊維・衣料グループ(ビナテックス)がIPOを実施、約24%に相当する1億1056万株を1兆2200億ドンで売却した。航空大手ベトナム航空が11月にIPOを実施するほか、電力最大手ベトナム電力公社(EVN)など各分野の大手も来年にかけて順次株式を売却していく。しかし、同国では手続きが遅れるのが珍しくないほか、国有企業の経営の実態が外部から見えにくいために投資家の関心は今ひとつだ。こうした不信が資本流入の停滞を招いていると指摘する専門家もいる。
株式売却が進まない理由について、財務省幹部は、欧州債務危機が発生した11年からベトナムの株式市場が低迷したことなどが大きいとしながらも、最終的には「国有企業の経営トップが売却に乗り気でないため」だと説明する。