全長88・1キロの堀川用水を通じ、652万平方メートル(652ヘクタール)に農業用水を供給している。堀川用水より高台にある農地35万平方メートルには、今も現役で三連水車が水を運ぶ。
完成から220年。山田堰などは、平成20年度から、国際協力機構(JICA)の研修地となり、干魃に悩み続ける東南アジアやアフリカの政府関係者が相次いで視察に訪れる。
アフガニスタンで潅漑事業に取り組むNGO「ペシャワール会」(現地代表・中村哲氏)は、同国東部のクナール川に山田堰をモデルにした堰を築いた。7年がかりで、505メートルの堰、全長25キロの農業水路を建設し、1日あたり40万トンの水を取水し、砂漠を農地に転換させた。
同会の担当者は「江戸時代の技術だけに、建築資材が不十分な発展途上国で参考にすることができる。斜め堰の構造は、雪解け時期のクナール川の急流にも耐えている」と語った。
山田堰は今月16日、ICIDから「かんがい施設遺産」に登録された。
「350年前の計算機のない時代にできたとは思えない遺産です。地元で今も愛される山田堰などが認定されたのは先人も喜ぶでしょう」
山田堰などを運営する山田堰土地改良区(朝倉市)事務局長の徳永哲也氏は登録の報せを喜んだ。
九州農業が注目を集めるのは、潅漑施設だけではない。
昨年5月、国連食糧農業機関(FAO)が伝統的農法や生物の多様性を次代に継承する目的で設立した「世界農業遺産」に、熊本と大分の地域に根差した農業が認定された。世界31地区の農業遺産のうち、九州から2地区が選ばれたことになる。