インド国内の港で手続き上の問題により滞留している輸入食品が増加し、総額2500億ルピー(約4450億円)分に達していることが判明した。滞留が始まったのは昨年9月ごろからで、政府機関による認可の遅れなどが要因だ。現地紙ヒンドゥスタン・タイムズなどが報じた。
同国食品加工産業省によると、滞留している食品は、チョコレートやウイスキー、食用油の一種である菜種油や飲料など広範囲に及ぶ。滞留貨物には欧米や日本の有名ブランド品も数多く含まれているもようだ。
食品安全基準局が監査の名目で輸入貨物をとどめ置いたり、同局が独自に作成した原材料表示基準に違反しているとして輸入許可を与えなかったりといったケースが積み重なっている。なかには返送を余儀なくされる製品も出ているという。
輸入業者などは、同局がラベルやロゴの細かな変更まで口を出し、国連食糧農業機関(FAO)や各国政府などがつくる食品国際規格「コーデックス」を満たした製品でも輸入を許可しないと不平をこぼす。
輸入業者で構成するインド食品輸入フォーラムの幹部は「そもそも、製品の基準をつくる際にコーデックスなどの国際規格を無視することがおかしい」と述べ、同局の姿勢に疑問を呈した。
同フォーラムによると、菜種油は昨年12月に突然、全ての容器に輸入品であることを証明する定型表示の記載が義務付けられ、滞留が急増した。
また、従来は原材料を記載したシールを貼付すれば輸入許可が下りていたにもかかわらず、貨物が港に到着した時点で原材料表示は製品に直接印字するよう規則が変更になったと告げられ、返送を余儀なくされた欧州製菓大手のチョコレート製品もあったという。
バダル食品加工産業相はこうした同局の手法について、輸入食品の滞留問題は前政権から受け継いだ問題だと前置きしたうえで「インドが反ビジネスの国家と受け取られかねない」と苦言を呈した。