ゼンショーホールディングス(HD)が展開する牛丼チェーン「すき家」での過酷な労働実態が明らかになった。積極的な新規出店を背景に外食業界で売り上げトップの企業に登りつめたゼンショーだが、その裏側で徹底されたコストダウンが背景にある。月500時間超勤務など驚愕の労働環境は人手不足を招き、多くの店舗が休業に追い込まれる事態に。深夜時間帯の1人勤務「ワンオペ」の見直しとともに牛丼の値上げに乗り出すが、成長を支えたビジネスモデルの転換につながるだけに経営の立て直しは容易ではない。
悲痛な叫び届かず…
「2週間家に帰れない」「体重が20キロ以上やせた」-。
7月末に公表された、すき家の労働環境を調査した第三者委員会の報告書には従業員らの悲鳴が並び、バイトを含めて恒常的に月500時間以上働いている人もいた過酷な実態が浮き彫りとなった。
全国に約2千店舗あるすき家の大半では、1人の店員が接客から調理、会計など、すべての仕事をこなす「ワンオペ」という深夜勤務体制が取られていた。人件費を大幅に抑えることで利益率を高めるためだ。