中国は今年7~9月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除いた実質で前年同期比7・3%増と、リーマン・ショックの影響で落ち込んだ09年1~3月期以来の低水準だった。雇用維持と社会安定のため、いわば内政上の事情で設定した通年の政府成長率目標7・5%も守りたい。このことが、金融緩和に消極的だった李首相や人民銀行に「背に腹は代えられぬ」と判断させたのか。
さらに、不動産市況の下落が続けば「シャドーバンキング(影の銀行)」と呼ばれる金融監督当局も把握しきれていない高利でグレーな融資形態で不測のデフォルト(債務不履行)が多発するのではないかとの懸念もあった。
年利10~30%もの高利回りをうたって銀行が販売する理財商品や信託商品だけで、シャドーバンキング融資残高は少なくとも22兆7千億元(約435兆円)にも上る。