12月の日銀短観 過度の円安、明確な事業戦略描けず (2/3ページ)

2014.12.16 05:23

 消費税再増税の1年半先送りを歓迎する声も。住宅業界では4月の増税などで需要低迷が続いており、積水ハウスの阿部俊則社長は「本音はほっとしている」と胸をなで下ろした。原油安も企業には追い風だ。

 ただ短観では、大企業の好業績にもかかわらず、先行きの業況判断指数(DI)は全規模・全産業で4ポイント悪化し、円安で恩恵を受けるはずの大企業・自動車も5ポイント悪化を予想する。

 円安や原油値下がりが予想以上に速く、企業が明確な事業戦略を描きにくくなっているようだ。SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミストは「企業の見方は過度に慎重になっている。実体経済の改善が進めば景況感は上向く」と分析する。

 これに対し、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「輸出で収益が出ているのは、数量が増えたからではなく、円安で円換算の価格が上がった効果。輸出企業も国内の売上高は伸び悩んでいるため、マインドの改善にはつながらない」と持論を展開する。

「中小企業・全産業」の先行きDIも4ポイント悪化を見込む

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