財務省は介護事業者の利益率が平均8%なのに対し、事業規模が同程度の他の産業の中小企業の約2%と比べ高収益である点を問題視。特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人が2兆円の内部留保を抱えるなど、介護事業者の“もうけすぎ”の実態を強調した。
介護報酬を1%引き下げると税金(国・地方分)520億円、保険料410億円、利用者負担70億円の計1000億円の支出が減る。財務省はこれを「国民負担が軽くなる」と与党に説明して回り、9年ぶりのマイナス改定、さらに過去最大の下げ幅(2.4%減)を上回る4%減を目指した。
昨年11月、安倍首相が消費税再増税延期を決断し、財源が厳しくなったことも財務省には追い風に見えた。「4%減なら完勝、2%台の減ならボロ負けだ」(同省幹部)と軽口をたたく余裕さえあったほどだ。
■野党攻撃のネタ回避
だが、昨年12月の衆院選後、情勢は一変する。介護報酬の大幅な減額に対し、民主党や共産党から「介護現場が崩壊する」などと批判が続出。今年1月7日、自民党の社会保障に関する特命委員会では「マイナス改定で政権を倒したいのか」などと怒号が飛び交った。8日には田村憲久前厚生労働相ら自民党“厚労族”議員が麻生太郎財務相に報酬の大幅減額をやめるよう求めた。9日、安倍首相と麻生財務相が会談し、2.27%減で決着した。