金融や不動産、資源開発など幅広い事業を手掛ける“赤い財閥”と、伊藤忠は2011年に包括提携し、傘下の金融会社に出資している。今回は香港市場に上場する持ち株会社に資本参画。切っても切れない関係となり、命運を共にする賭けに踏みこむことになる。
伊藤忠は、共産党の既得権益層と深く結びつく本丸のCITICの懐にCPとともに食い込むことで、中国の市場を内部からこじ開ける“見えざる鍵”を得られると判断したのだろう。
CPが得意とする食糧関連のビジネスもなお市場性は大きそうだ。CITICがもつ投資機能を磨き上げることで、中国以外の第三国投資で伊藤忠の出番もある。伊藤忠は1972年の日中国交正常化以前から、当時社長だった越後正一氏(01~91年)の強い意志で、ダミー会社を使わずに対中ビジネスに直接取り組んできた数少ない商社。日本企業として常に、中国市場を先駆けて開拓してきたとの自負と自信が読み取れる。