経済的不平等や格差に関する研究を行ってきたピケティの主張を極めて簡単に言えば、「資本主義は格差を拡大させる傾向がある」ということだ。
ピケティによれば、19世紀から20世紀初頭は格差が拡大。20世紀半ばに格差が縮小。1980年代以降、再び格差は拡大。現在は20世紀初頭と同程度の格差に戻っている。
例えば、米国の所得(フロー)。1910年頃の上位10%の所得階層による占有率は約50%。その後低減し、第二次大戦後は約30%に下落。ところが2010年には再び約50%へ上昇した。
資本(ストック)に関しては、上位10%の富裕層による資本(富)占有率は1910年に約80%。その後低減し、第一次大戦後は約60%まで下落。ところが2010年には再び70%近くまで上昇している。
こうした格差拡大の背景には、所得対資本比の上昇が影響している。つまり、国内総生産(GDP)に対して国民全体が持っている資本(総資産)の割合である。
1910年の米国の所得対資本比は約700%。戦争による損耗などから第二次大戦後は約200%まで下落。しかし、2010年には再び約600%に上昇。
所得対資本比が上昇すると、資本から生み出される所得(企業収益、配当、賃貸料、利息、資産売却益など)が増え、それらの保有者はますます豊かになる。
こうしたデータ的事実に基づいて、ピケティは資本主義の根本的矛盾を表す不等式を明らかにした。
すなわち「r>g」。「r」は資本収益率、「g」は国民所得増加率。「g」は経済成長率と言ってもよい。
歴史的に見ると、戦後の一時期を除いて資本収益率は経済成長率を上回っているというのがピケティの結論。つまり「r>g」という不等式が成り立つという。
その意味では「r」と「g」が逆転した20世紀半ばは画期的。人口増加や技術革新によって「g」が上昇し、格差が是正された。