日銀は、政策目標として掲げる2%の消費者物価上昇率について、「2年程度」としている達成時期を修正し、先延ばしする方向で検討を始める。原油安で足元の物価は伸び悩むものの景気は回復基調にある。このため、最高意思決定機関の政策委員会メンバーの多くが2年にこだわるべきではないと考え始めているためだ。
日銀は昨年10月末の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切った。原油安による物価の伸び悩みが大きな要因だったが、原油価格はその後も下落基調。物価の前年比伸び率は昨年12月に0・5%(消費税増税の影響を除く)まで鈍化した。
日銀は「2年程度で2%」の物価目標について、昨年4月からは目標の達成時期を「平成27年度を中心とする期間」と説明。市場は27年度中と受け止めたが、黒田東彦(はるひこ)総裁は1月の記者会見で、達成が28年度にずれ込む可能性に言及した。
また、2年程度の期間については、政府からも、甘利明経済再生担当相が1月末の記者会見で「もっとアローアンス(余裕)をもっていい」と発言するなど、先延ばしを容認する声が出ている。