政府は16日、中国が主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への現段階での参加は見送る方針を固めた。借入国の返済能力を超える巨額の融資が行われ、別の国際機関に損害を与える可能性が指摘されていることが主な理由だ。中国が創設メンバーへの参加期限とする3月末が迫る中、日本政府の立場となる対処方針案にこうした考えを盛り込む。
AIIBへの対処方針案は、(1)融資審査能力への疑問(2)公正なガバナンス(統治)への不安(3)既存の国際機関との関係-の3点で構成。英国が先進7カ国(G7)で初めてAIIBへの参加を申請し、オーストラリアやフランスなども検討する中、政府の立場を明確に示すために策定した。
具体的には、AIIBが巨額融資を行う場合、それ以前に支援してきた世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、政府開発援助(ODA)などと借入国との関係が複雑となり、返済順位が不明確になることを懸念。借入国の返済能力を無視した貸し付けが行われ、仮に融資先の国が財政破綻に陥れば、別の国際機関に被害が生じる可能性があると警戒している。
日米が最大の出資国であり、アジアの国際金融機関としての機能を果たしてきたADBとの役割分担の難しさや、組織運営上の不透明さなど多くの不安材料が残っており、政府はこうした段階での参加は見送るべきだとの判断に傾いた。