問われるエネルギーの「ベストミックス」 火力依存、いびつな電源構成 (3/4ページ)

2015.3.19 05:00

 原発停止の長期化で北海道電力が昨年、追加値上げしたのに続き、関西電力も再値上げを申請中だ。原発の再稼働が遅れれば、他社も追加値上げを打ち出す恐れがあり、料金引き上げの連鎖は消費の下押し圧力になりかねない。

 原発の稼働停止は環境にも影響を与え、火力比率の上昇で温室効果ガスの排出量も増えている。

 政府は2030年時点の原発比率を「15~25%」とする方向で検討中だ。原発は「40年運転」が原則とされ、これを厳格に適用すると国内に48基ある原発は、30年時点で18基にまで減少し、原発比率は15%となる。

 ただ、これでは30年以降も原発は減り続け、40年代にゼロになる。これを防ぐためには古い原発の運転延長に加え、新増設を含めた電源確保が欠かせない。

 安全性を高めた原発を開発し、世界に提供することは原発事故を引き起こした日本の責務でもある。そのためには25%の原発比率を目指すべきだ。

 日本エネルギー経済研究所は30年の電源構成を複数想定し、日本経済に対する影響を試算した。それによると「原発0%、再生エネ35%、火力65%」の場合に比べ、「原発30%、再生エネ20%、火力50%」は、国内総生産(GDP)が10兆円多かった。火力向けの燃料輸入が減り、料金上昇が抑えられるためだ。

 そして同研究所では、原発と再生エネが25%ずつ、火力が50%の電源構成が「経済や環境への影響などを総合的に考えると、最も望ましい」(柳沢明研究主幹)としている。

 原発に対する世論は依然として厳しい。だが、日本の将来にとって、原発の活用を含めたベストミックスの設定は不可欠だ。政府は原発の必要性を国民に説明することから逃げず、正面から議論に取り組まなければならない。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。