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■再生エネ拡大、制度再設計が急務
政府は電源構成に占める再生エネ比率を2030年に20%以上に高める方針だ。だが、再生エネは発電コストが高く、送電網への接続容量も増強する必要がある。導入拡大には課題も多い。
太陽光などの再生エネを20年間にわたって電力会社が買い取り、電気料金に上乗せする制度は約3年前に導入された。だが、高値での買い取りを決めたことで申請が殺到。九州など5電力は受電調整ができなくなり、大規模停電の恐れがあるとして買い取りを一時保留する事態となった。
このため政府は1月、電力供給が需要を上回る恐れが生じた場合、太陽光の発電業者に対し、出力抑制を強制できる新ルールを制定した。また、政府は送電網の増強工事などの費用について、発電業者が負担する仕組みなども検討中だ。再生エネ導入には制度設計の見直しが急務だ。
さらに太陽光が9割を占める再生エネの普及動向を改善し、地熱などの利用を拡大したい考えだ。ただ、地熱や風力などは太陽光に比べて環境規制や地権者の同意などの問題も残る。どこまで普及が進むかは不透明だ。
環境負荷が小さい再生エネに対する期待は大きい。しかし、出力が安定しない太陽光などは安定電源にはなり得ない。その利用拡大には他の電源を組み合わせて上手な活用を考える必要がある。