中国の習近平国家主席(前列中央)とアジアインフラ投資銀行の設立に基本合意した各国代表=2014年10月、北京の人民大会堂(共同)【拡大】
■産経新聞客員論説委員・五十嵐徹
中国の習近平国家主席とおぼしき人物が、RMB(人民元)と書かれた巨大な磁石をかざし、英国のキャメロン首相らがぞろぞろと吸い寄せられていく。困惑した表情で見送るのは米国のオバマ大統領か。
英紙フィナンシャル・タイムズが16日付で掲載した解説記事のポンチ絵である。ズバリ、見出しは「中国マネーの磁力に吸い寄せられる米同盟国」だ。
中国が主導して創設を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)が実現性を増している。米国の慎重姿勢に歩調を合わせてきた英国が、一転して参加を表明し、これに独仏伊も足並みをそろえたからだ。オーストラリアや韓国も追随する構えだ。
◆見解ばらつく日本
さて日本はどうか。いまのところ、米国との共同歩調に揺るぎはないとしているが、やはり動揺は隠せないようだ。ここにきて、政府内には見解のばらつきも目につく。
日米がAIIB構想を警戒するのは、急ピッチで軍事的プレゼンスを増強する中国が、経済面でも覇権を求める動きと映るからだ。今後の動向は、世界経済を展望するうえでも大いに気がかりだ。