農林水産省は10日、地域特有の農産物や食品を国がブランドとして保護する「地理的表示(GI)保護制度」が6月から始まるのを前に、同制度で認定されたことを示す登録標章「GIマーク」を公表した。国が品質の“お墨付き”を与えた商品を消費者が一目で認識できるようにすることで、類似品との差別化や不正表示の取り締まりに役立てる。
地域のブランド力の向上や地方特産品の輸出拡大にもつなげる狙いだ。マークのデザインは日の丸を背負った富士山と水面をモチーフにし、日本の伝統を感じさせる赤と金を基調にした。6月にも登録申請を開始し、早ければ年内に第1号を認定する。
認定条件は、地域の特色を生かした原料や製法で製造され、高い品質や認知度を維持している農産物や食品。目安として25年程度の歴史があることを基準としている。申請から登録までは3~6カ月程度かかる見込みで、登録料は1件につき9万円。複数の生産者や加工業者でなる団体で申請することが基本となっており、長野県の「市田柿」や鹿児島県の「鹿児島黒酢」などの生産者団体が申請を検討しているという。
産地ブランドを知的財産として保護する制度は、欧州を中心に100カ国以上が導入している。今後、各国と協定を結び、海外でも日本の地名ブランドが保護される仕組み作りを進める方針。また、類似した制度に特許庁所管の地域団体商標制度があるが、GI保護制度では不正使用などの対応は登録者ではなく国が行う点や、保護期間がない点、品質基準を設けた点などが異なる。