しかし、AIIBから距離をとる日米の結束は固い。麻生太郎財務相とルー米財務長官の会談はAIIBへの対応に長い時間を割き、AIIBの野放図な融資拡大を牽制(けんせい)することで一致。ある同行筋は「AIIB設立までのスケジュールや幹部人事の構成まで、多くの重要事項が中国の独断で決められている」と、中国への不信感をあらわにする。
ただし米国にはIMF改革で指導力を発揮できていないという弱みもある。IMFは2010年に中国など新興国の発言力を拡大させる改革案を決めたが、事実上の拒否権を握る米国の議会が批准に消極的なため、改革は実現していない。米国が「お荷物」となる構図は、中国に新たな国際金融機関を創設する理由付けを与えている。
今回のG20会合はIMF改革についても協議し、米国に批准を促したが、オバマ政権が米議会を説得できるめどは立ってない。
一方では米国抜きでの代替的な改革も検討されているが、「正式に決定された10年の改革の実現を目指す立場からは、代替案の検討ばかりを進めるわけにもいかない」(別の同行筋)といったジレンマも抱えている。
高まる中国の存在感と動けない米国の対比は、中国への期待をますます高める結果になっている。(ワシントン小雲規生)