「TPP6月合意」への3つの壁は(1)日米(2)TPA(3)全体交渉 (2/2ページ)

2015.4.21 22:00

TPPについての日米閣僚協議を受け、報道陣の取材にのぞむ甘利明TPP相=21日午前、東京・永田町(三尾郁恵撮影)

TPPについての日米閣僚協議を受け、報道陣の取材にのぞむ甘利明TPP相=21日午前、東京・永田町(三尾郁恵撮影)【拡大】

反TPPでデモ

 日米協議の決着と並んで、全体合意の「重要な要素」(甘利氏)となるのがTPA法案の成立だ。成立しなければ、合意内容が米議会の反対で覆されかねないため、最終的な譲歩案を出し渋る参加国は多い。

 米上院で通商交渉を管轄する財政委員会は20日、TPA法案の審議を22日から始めると発表。下院歳入委員会は23日にも審議を始める。だが、法案の審議は難航も予想されている。

 米ワシントンでは20日、議会に圧力をかける狙いで、TPPに反対するデモ行進が行われた。デモ行進には労働組合関係者ら数百人が参加。労組幹部らは参加者に対して、デモ行進しながら携帯電話で議員らの事務所にTPA法案反対を訴えるよう呼びかけた。

 背景には、北米自由貿易協定(NAFTA)など過去の自由貿易協定が製造業の海外流出を招いたとの主張がある。米議会では労組を支持基盤とする与党・民主党でTPA法案への反対が強く、野党・共和党にも同法案でオバマ大統領に通商交渉の権限を委ねることには抵抗感が根強い。

交渉中断の懸念も

 日米協議が決着し、TPA法案が成立しても、知的財産など難航分野で日米と対立する新興国が歩み寄る保証はない。12カ国は23日から、米ワシントン近郊で首席交渉官会合を開くが、鶴岡公二首席交渉官は21日、今回の会合で課題が「すべて解決することは想定されない」と述べた。

 日本政府内では「遅くとも6月までに全体合意できなければ、交渉は中断を余儀なくされる」(交渉筋)と危ぶむ声も多い。「時間切れ」が迫る中、どう全体交渉を終結に持ち込むか。交渉を主導する日米の外交力が試される。

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