共同記者会見に臨むインドのモディ首相(左)とドイツのメルケル首相=今月、独ベルリン(AP)【拡大】
インドは欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)の交渉が難航している。今月ドイツ・ベルリンで行われたインドのモディ首相とドイツのメルケル首相の会談では、モディ首相が「均衡の取れた相互利益」を主張して交渉加速を主張したのに対し、メルケル首相は「あらゆる面で歩み寄りが必要」と述べ、両者の要求に大きな隔たりがあるとの認識を示した。現地経済紙エコノミック・タイムズなどが報じた。
インドとEUのFTA交渉は、2013年5月にインドのIT(情報技術)分野のデータ保護状況をめぐる協議が物別れに終わったのを最後に行われていない。今回、モディ首相がメルケル首相と会談をするに当たり、インド側はニルマラ・シタラマン商工担当国務相が「FTA交渉の準備はできている」と述べるなど、ドイツの理解を得たうえでの交渉再開に期待する姿勢を示していた。
前回交渉の不調の原因となったIT分野のデータ保護状況については、EUが加盟国企業に対してデータ保護規則への順守が不十分な国・地域に業務の外部委託を行うことに厳しい制限を設けていることから、IT分野の業務受託が盛んなインド側が順守の認定を求めている。
これに対してEU側は、インドのIT分野はセキュリティーに問題があるとの認識を引き続き持っているもようだ。