インド北部ウッタルプラデシュ州の商店で回収決定となったマギー製品を撤去する店主=5日(AP)【拡大】
インドは、食品大手が製造する即席麺の販売停止の影響が各方面に広がっている。スイス大手ネスレのインド子会社、ネスレ・インディアは、即席麺ブランド「マギー」の販売停止による売り上げの損失が推定32億ルピー(約62億円)に達する見通しだと公表した。さらに、インドの食品安全基準局(FSSAI)が検査対象を他社製品にも広げるなど、問題は拡大している。現地紙タイムズ・オブ・インディアなどが報じた。
◆膨らむ損失額
ネスレ・インディアによると、32億ルピーの内訳は、インド全国で店頭回収したマギー製品の売り上げの損失分が21億ルピーと、工場や配送センターで保管していた製品の損失分が11億ルピー。同社は、回収や廃棄に要する費用は含んでいないとしており、最終的な損失額がさらに膨らむのは確実な情勢だ。
専門家は、昨年の同社の年間売り上げが985億5000万ルピー、最終利益が118億5000万ルピーだったと指摘。販売停止による損失が今年の業績に与える影響は「とてつもなく大きなものになる」と述べた。
ネスレ・インディアは、インド当局の検査でマギー製品から基準値の約7倍の鉛が検出されたことが表面化したあと、6月5日に同国全土のマギー製品の回収を決定。同日にFSSAIが同社に対し、即席麺の販売停止を通達していた。その後、同社は外部に委託した検査などで安全性が証明されたとして、裁判所に販売停止に対する異議申し立てを行っている。