2日目の協議を前に、宿泊先のホテルで記者の質問に答える甘利TPP相=29日、米ハワイ州カパルア(共同)【拡大】
【ラハイナ(米ハワイ州)=本田誠】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の日米2国間協議で、日本から米国に輸出する牛肉の関税を撤廃することで調整していることが29日(日本時間30日)、分かった。米国側が設けている低関税輸入枠を協定発効時に現在の15倍の3千トンに拡大した上で、10年以上かけて最終的に関税をなくす。農産品で守勢に回ることの多い日本には輸出拡大で攻勢をかける象徴的な品目となりそうだ。
甘利明TPP担当相は同日の閣僚会合前の記者会見で、米国への牛肉輸出に関して「大事なことは最終的に関税がなくなること。かなりわれわれの要望が実現しつつある」と述べ、関税撤廃に期待を示した。
米国は現在、日本産牛肉の輸入に対し、1キロ当たり4・4セント(約5円)の関税をかけ、200トンを超えると大幅に引き上げている。
近年の和牛ブームで日本が2014年に米国に輸出した牛肉は153トンと急速に伸びている。今後も増加が見込まれるため、大幅な枠拡大を米側に求めてきた。合意すれば、政府が目指す農産物輸出の大幅増加が期待される。
甘利氏は29日、2日目の閣僚会合に出席し、ベトナムやシンガポールとの2国間協議にも臨んだ。閣僚会合の終了後、「あと2日で間に合うかどうかまだ分からない。何とも言えない」と述べた。