TPP交渉の閣僚会合に臨む甘利TPP相(右から2人目)ら=28日、米ハワイ州ラハイナ(共同)【拡大】
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が28日(日本時間29日)開幕し、日本は交渉参加各国と関税協議の最終調整に入った。牛・豚肉の関税を共通化すると、大半の輸入品の関税が大幅に下がる。消費者にとっては恩恵となるが、国内の畜産農家が打撃を受ける。政府は緊急輸入制限(セーフガード)の導入など影響の緩和に腐心している。(ラハイナ=米ハワイ州 本田誠)
「懸案は複数ある」
甘利明TPP担当相は28日の閣僚会合後の記者会見でこう述べ、同日の日米の関税協議で決着に至らなかったことを明かした。懸案は閣僚会合が閉幕する予定の31日までに解決させたいとした。
牛肉の関税を9%まで下げても、高価格帯のブランド和牛は輸入品とすみ分けができており、影響は軽微と指摘される。
一方、低価格帯の乳用種や交雑種は競合することが想定され、あおりで店頭価格が下落する可能性がある。飼料高などに苦しむ農家にとっては死活問題となりかねない。豚肉も事情は同じだ。
セーフガードをめぐっては、日米協議で調整が難航しており、政府は牛肉について関税が9%まで下がった段階では、発動しても20%以下にしか戻らない譲歩案も検討している。