共同記者会見で、厳しい表情でこぶしを握りしめるニュージーランドのグローサー貿易相=7月31日、米ハワイ州ラハイナ(共同)【拡大】
米国も同盟国のオーストラリアは軽視できず、一時は譲歩に傾いたものの、折り合えなかった。
オーストラリアのロブ貿易・投資相は共同記者会見で「合意に向けた妥協は必要だが、合意は両当事者にとってメリットがなければならない」と強調した。
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2国間で進めてきた関税協議では乳製品の扱いがネックとなった。
ニュージーランドが世界最大の輸出品である乳製品の市場開放を求め、日本やカナダに「過大」(甘利氏)な要求を突き付け続けたからだ。
日本は乳製品のバターや脱脂粉乳の低関税枠を米国、オーストラリア、ニュージーランドに生乳換算で計7万トン弱設ける方向で調整したが、ニュージーランドはこれを大幅に上回る規模を求めた。
自国の主張に固執するニュージーランドは会合前から問題視され、交渉からの除外論も出ていた。
だが、ニュージーランドはTPPの前身である自由貿易協定(FTA)「P4」協定をシンガポール、チリ、ブルネイと2006年に締結した、いわばTPP交渉の「先発組」である。「TPPの設計者」ともいわれるニュージーランドのグローサー貿易相には「TPPが後発組の日米に乗っ取られた」(交渉筋)との苦々しい思いがあったようだ。