金融政策決定会合後に記者会見する日本銀行の黒田東彦総裁=7日午後、東京都中央区の日本銀行本店【拡大】
こうした中、日銀は今回の会合で景気判断を据え置いた。黒田総裁は「輸出と生産の鈍い動きは一時的なものだ」と述べ、国内景気のもたつきは早晩解消されると強調した。
また、中国経済の減速懸念については「地方の不況の長期化や最近の株価下落の影響など、いくつかのリスク要因はあるが、中国政府が景気刺激策を打つ余地はある」と述べ、来年までは7%程度の経済成長が見込めるとの見解を示した。
ただ、雇用や所得が改善しているにもかかわらず、個人消費の回復ペースは鈍い。黒田総裁は「消費は回復を示していく」と強調したが、市場では個人消費は4~6月にマイナスに陥るとの観測もある。
「企業は人手不足でも、人件費を増やそうとはしていない」(宮前氏)との指摘もあり、市場では先行きに慎重な見方も少なくない。28年度前半ごろとしている物価目標の達成時期は、さらに先送りとなるとの観測も強まっている。(米沢文)