日本郵政グループ3社の株式上場を機に、証券業界は、個人投資家の裾野拡大を期待している。一方で、投資家が郵政3社の株式を買うために換金目的で他の銘柄を売る動きが出れば、短期的には株式市場の需給が悪化しかねないとの懸念もくすぶる。
「マーケットで今年最大の話題は、日本郵政グループ3社の上場です」-。8日夜、東京・新宿で開かれたSBI証券の個人投資家向けセミナー。同社の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、約70人の受講者にこう訴えかけた。
知名度が抜群の郵政3社の上場は、個人投資家の関心も高いようだ。セミナーに参加していた東京都港区のパート男性(59)は「買って損をすることはないと思う」と購入に前向きだ。同渋谷区の50代の主婦も「28年前のNTT上場時にNTT株を買った。郵政株にも期待したい」と話した。
1987年2月のNTT上場では、それまで株式投資に縁のなかった個人投資家がNTT株に投資し、一躍ブームとなった。東京証券取引所などの調査によると、2014年度の個人株主数は4582万人で、NTTが上場する前の1985年度(1628万人)に比べて3倍弱に拡大している。