自らも起業家経験が豊富なサンブリッジグローバルベンチャーズの平石郁生社長【拡大】
◆「挫折のすすめ」
平石氏は上場や売却といった成功体験を持つ投資家だが、一方で、起業家として「挫折」と呼べるほどの失敗もいくつか経験してきた。
--成功体験からよりも失敗から多くを学ぶといつも言っていますね。成功を知る人にしては、失敗について語ることがとても多いように感じます
「そんなに成功しているかどうかは分からないですが(笑)。日本での失敗のとらえられ方は、この国の足を引っ張っています。かつては起業するなら銀行から融資を受けるのが一般的でした。事業が失敗すれば、起業家は人生の挫折を味わいます。負債を一生背負ってしまうわけです。状況が変わってほとんどのベンチャー企業が貸し付けではなく株式発行によって資金調達をするようになっても、社会の見方が変わるにはもっと時間がかかるのです。人々はいまだに失敗をとても悪いことだと思っています。『挫折のすすめ』という著書では、そんなことを書きました」
--日本の倒産法制は、欧州や米国のものと随分違っていますね
「そうですね。会社が倒産したり、起業家自身が自己破産したりしてもその後もう一度チャンスを与えられれば、その人だけでなく社会全体にとって利益があると思います。世界で最も成功している事業家のなかには、過去何社かで挫折を経験してから成功したという人もいます。米国で誰もが一度きりのチャンスしか与えられなかったとしたら、今のように世界のイノベーションを先導する国になっていたでしょうか。日本でも、会社経営に一度失敗していても素晴らしいアイデアを持つ人がいます。アップルやグーグルに並ぶような企業を次のチャンスで作り上げるかもしれないのです」