軽減税率に「3つの壁」 対象品目拡大なら減収、経理システム、限られた検討時間 (2/2ページ)

2015.10.14 21:39

安倍首相との会談後、記者の質問に答える、自民党税調会長に内定している宮沢洋一氏=14日午前、首相官邸

安倍首相との会談後、記者の質問に答える、自民党税調会長に内定している宮沢洋一氏=14日午前、首相官邸【拡大】

経理システム

 軽減税率導入時の経理方式も課題の一つだ。公明党は、現行の請求書をベースに軽減品目に印を付ける簡易方式を主張する。その上で、3~5年かけ商品ごとに税率や税額を明記するインボイス(税額票)に移行する案を見込む。

 中小事業者の事務負担に配慮したものだが、簡易方式では納税額の不正が防ぎにくいとの指摘もある。財務省や自民党は、導入当初からのインボイスが不可欠との姿勢を崩していない。

 簡易方式とインボイス、いずれの方式でも、事業者は商品ごとに税額を分けて管理し、請求書の書式を変更する必要がある。経理システムの改修が必要で、浸透するには「1年半程度必要」(財務省)とされる。

限られた検討時間

 平成29年4月の消費税再増税と同時に軽減税率を導入するには、今年末の与党税制改正大綱で制度設計を決める必要がある。来年の通常国会で法改正し、事業者の準備に充てるためだ。

 与党の税制協議会に残された時間は実質1カ月半にすぎない。自民党の支援者である中小事業者からは負担増回避を求める声も根強く、期限内の意見集約は狭き道といえる。

 このため、自民党からは早くも「同時導入にこだわるなら再増税を延期するのも一つだ」(閣僚経験者)との声も漏れ始めている。

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