福島のコメ、現状と課題 地道な努力、地域ぐるみで乗り越え (2/4ページ)

2015.11.13 07:36

コメを通して消費者に安全を訴える動きも活発だ(福島県本宮市)

コメを通して消費者に安全を訴える動きも活発だ(福島県本宮市)【拡大】

  • イベント終了後に無料配布した「天のつぶ」を受け取る参加者=東京都江東区のイトーヨーカドー木場店
  • 御稲プライマル・後藤正人専務

 県の安全検査体制を熟知している流通業者の大半は、「福島産のコメは全く問題ないし、おいしいので業務用として販売している」と話すが、風評被害で売れないコメを扱うことを躊躇しているケースも多いという。

 ■消費者に受け入れられるコメを作る

 福島県の中央部に位置する本宮市にある御稲プライマルは、約25.5ヘクタールの耕作地を有する農業生産法人。毎年、玄米30キロで3600袋を収穫する。同社の後藤正人専務は、「震災前はネームバリューがあったが、今は通用しない。一度も放射線基準値を超えたことがない土地なのに歯がゆい思いだ。消費者が変わってしまったのなら、消費者に受け入れられるよう福島も考え方を変えるべきだ」と話し、新しいスタイルへの変貌が必要だと強調する。

 同社は、おいしいコメを作るだけではなく、料理に合わせた最適なブレンドを提供する工夫で着実にファン作りを始めている。食の意識の高い人向けに情報を発信し、直販体制を整備。お料理専用米として、炊き込み、おにぎり、カレー用の専用米を販売する。今後は寿司、お茶漬け、チャーハンに合う専用米も予定している。コメの価格は低下傾向だが、付加価値を与えることで価格は逆に上げることができる。

安全でおいしいコメが売れなければ、生産者の意欲も減退してしまう

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