その一方、対中警戒感も見え隠れする。HSBCは12年から中国の景気指標として海外からも注視されている製造業の購買担当者指数(PMI)調査を毎月続けてきたが、今年7月に撤退した。PMIは中国国家統計局も毎月発表しているが、市場ではHSBCの独自調査の数字に信頼感が置かれていた。
8月以降も英調査会社マークイットが発表を継続し、HSBCの穴を中国本土の金融メディアが埋めているが、国家統計局よりも発表が早かった速報値の発表を取りやめたほか、確報値の発表も国家統計局の発表の後にずらした。さらに、国家統計局の数値よりも厳し目に出ていた調査結果が、HSBCの撤退後は急ピッチで“回復”を示す中国寄りの数字になった。
将来を懸念
HSBCが統計数字で中国当局から「生意気」と受け取られる姿勢を改めて撤退したとの見方もあるが、国際金融筋は「HSBCは中国の統計数字の信頼度や方向性に大きな疑念と失望を抱いた」と話している。