今年末に設立予定のAIIBは、中国が米国主導の国際金融秩序を揺さぶるための仕掛けとみる向きが多い。そのトップがTPPへの関心を公言したのだ。他にも人民銀行の副総裁などが中国がTPPに加入する可能性についてコメントしている。
この動きをどう解釈すればいいか。中国は2001年にWTO(世界貿易機関)に加入することで経済改革を一気に進めた。中国政府内には、その再演を考える人々もいるのだろう。現在はTPP加入には遠いが、どこかで中国は豹変(ひょうへん)するかもしれない。それは日本にとって、中国がより開かれた市場になるという大チャンスである。
【プロフィル】西村豪太
にしむら・ごうた 「週刊東洋経済」編集長代理 1992年に東洋経済新報社入社。2004年から05年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。45歳。東京都出身。