平成29年4月の消費税再増税時に導入する軽減税率について、政府・与党は11日、具体的な財源を自民・公明両党の合意時には明示しない方針を固めた。食料品全般を対象にする際、必要な1兆円程度の財源を早期に確保するのが困難なためだ。制度導入まで1年4カ月あることから、29年度予算案を編成する来年末に向け財源の手当てを急ぐ。
麻生太郎財務相は11日の閣議後記者会見で「いきなり数千億円が今日、明日で出てくるはずはない。来年までの間に時間をかけていくのが実態だ」と述べた。
政府・与党がこれまでに確保した財源は、低所得者の医療費などの自己負担を軽減する「総合合算制度」の導入見送りによる4千億円にとどまる。食料品全般に適用するには大幅な不足となる。必要な財源を補うために、公明党はたばこ税の増税案を主張している。
現在、たばこ1箱当たりの税金は、国税が106・04円▽地方税が122・44円▽特別税が16・40円▽消費税が31・85円-となっている。28年度の税制改正では増税を見送ったが、29年度の改正では検討される見込みだ。仮にたばこ1本当たり1円増税した場合、千数百億円の税収増になる計算だという。
ただ、29年4月の消費税再増税と同時にたばこ増税分が価格に転嫁されるほか、原材料価格の上昇分も含めて、増税分を上回る大幅な値上げとなる見込みだ。消費税とたばこ税の増税が重なれば、禁煙する人が増え、想定ほど税収は増えないとの見方もある。
一方、政府内では景気回復に伴う税収の上振れ分を、財源に充てるべきだとの意見も根強い。甘利明経済再生担当相は11日の記者会見で「アベノミクスによる成長の上振れをどう使うのか、という議論がある」と述べ、税収の増加分も財源の検討対象になり得るとの考えを示した。政府内では外貨建て資産を管理する特別会計の剰余金を充てる案も浮上している。だが、麻生氏は「為替は上がったり下がったりするから、安定財源にはならない」と反論しており、有力な財源確保のメドは立っていない。
(今井裕治)