日銀が12日発表した3月の貸出・預金動向速報によると、全国の銀行の貸出平均残高は前年同月比2・0%増の433兆3461億円だった。54カ月連続で前年を上回ったものの、黒田東彦(はるひこ)総裁が就任した平成25年3月以来の低い伸び率となった。世の中の金回りをよくし、景気回復を目指す「黒田バズーカ」は“賞味期限切れ”になったのか-。(米沢文)
企業の合併・買収(M&A)や不動産向けの融資が多く、銀行の貸出残高が引き続き伸びた。ただ、日銀がマイナス金利政策を導入した2月からは0・2ポイント鈍化した。
業態別では、都市銀行が0・7%増の205兆8839億円。地方銀行と第二地方銀行は3・3%増の227兆4622億円だった。
一方、預金残高は3・0%増の640兆9213億円だった。このうち都銀の伸び率は3・8%増。市場金利の低下で運用難に陥った保険各社からの預金が集中したようだ。
また、全国銀行協会によると、信託銀行の3月末の実質預金残高は9・7%増の40兆880億円で、約7年ぶりの高い伸び率だった。短期金融市場の金利がマイナス圏に落ち込み、資産運用会社や証券会社から預かる資金が急増したためとみられている。
信託銀は日銀当座預金に預け入れるお金が増えており、負担感が増している。18日からは、資産運用会社や証券会社から新たな手数料の徴収を始める。
日銀は「マイナス金利の影響が貸し出しに表れるには時間がかかる」と説明する。ただ、金融機関の収益圧迫懸念は根強い。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、マイナス金利の導入によって、本業のもうけを示す業務純益は、地銀で15%、大手行で8%減ると試算している。