大和総研の山崎加津子シニアエコノミストは、英国がEUを離脱した場合、「フランスやイタリア、オランダ、フィンランド、デンマークなどでもEU離脱を求める動きが出てくるかもしれない」と警告する。
英国のEU離脱をきっかけに欧州不安が再燃すれば、日本企業の欧州向け輸出が減少し、業績悪化に直結する。さらに、世界の金融市場への悪影響も懸念される。
日銀幹部は「英国のEU離脱で投資家心理が悪化すれば、通貨の英ポンドとユーロが売られ、安全資産とされる円が買われやすくなる」と警戒する。
全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)も5月の記者会見で「円高・株安などの懸念があり、金融業界にとっても大きな影響がある」と語った。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)が5月中旬に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)の4月分の議事録では、大半の参加者が、6月の追加利上げが「適切になるだろう」との認識で一致した。
市場では、利上げが想定より近いと受け止められ、ドル高につながる早期の利上げ観測が再燃した。新興国市場の緩和マネーが流出すると受け止められれば、市場の混乱は大きくなりそうだ。