安倍晋三首相が、来年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げを2年半再延期する方針を麻生太郎副総理兼財務相ら政権幹部に伝えたことに対し、自民党内では理解と反発が交錯した。
「消費税は経済政策でいえば、ブレーキ的な要素になる可能性がある。まずは経済対策に専念し、消費税(増税)を先送りせざるを得ない」
自民党の下村博文総裁特別補佐は29日のフジテレビ番組「新報道2001」で、首相の増税再延期方針に理解を示した。棚橋泰文幹事長代理も同日のNHK番組で「消費税率を上げても税収が伸びないような状況であれば、臨機応変に対応するのは政治家として当然だ」と指摘した。
2年半の再延期で、消費税率の引き上げは平成31年10月となる。32年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化するという財政健全化目標の達成には「黄信号」がともるが、首相側近は「アベノミクスを成功させながら、ぎりぎりPBも黒字化できる」との見方を示す。
消費税率10%への引き上げは、もともとは27年10月に予定されていた。しかし、首相が26年11月に1年半の延期と衆院解散を決断。この際、29年4月には必ず引き上げることを明言しており、自民党内からは「国民が納得する説明ができるのか」と発言の整合性を問う声も上がる。
その自民党も26年12月の衆院選の政権公約に「10%への引き上げは29年4月に行う」と明記しており、今回の再延期方針には、「衆院を解散せずに再び増税を先送りするのはあり得ない」(党幹部)との声が高まっている。
首相が、現下の世界経済の状況を「リーマン・ショックの前の状況と似ている」と指摘したことも自民党内で波紋を呼ぶ。棚橋氏は「一日で決める話ではない。与党内での根回しが必要だ」と強調。党幹部は「2年半の再延期はまだ決まったことではない」と述べ、首相に明確な説明を求める意向を示した。(力武崇樹)