安倍晋三首相は、消費増税再延期を決断するにあたり“外圧”を利用したといえる。海外の有識者から世界経済の現状を聞くとして3~5月に計7回開いた「国際金融経済分析会合」は決断への「おぜん立て」になったほか、米政府内からも出てきた再延期支持の声は環境整備に役立った。
同会合には計12人が出席した。初会合に出たジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は中国経済の減速などを踏まえ、「世界経済は大低迷だ。まだ危機ではないが成長は減速している」と述べ、先進国が協調して財政出動し、日本は消費税増税を延期すべきだと主張した。3回目に登場したポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授も「引き上げは今やるべきではない」と訴えた。
引き上げを求める有識者もいた。ただ、有識者の人選は官邸サイドが行っており、菅義偉官房長官は同会合の終了後に「総じて世界経済の下方リスクを指摘する専門家が多かった」と総括した。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは同会合について「アベノミクスの失敗でなく、世界経済のリスクのせいで増税を先送りするという理論武装に役立った」と指摘する。
一方、首相は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、世界経済が2008年のリーマン・ショック前の状況に似ていると言及した。しかし、市場ではリーマン・ショックのような金融不安の兆候はみられないという批判が出ている。