地区の4人のヘルスケア担当者はメンタルヘルスの知識もないのに対応に駆り出され、ろくに睡眠も取れない状況に陥った。
アタワピスカトはカナダの豊かさから、取り残されたような地区だ。最も近い町から500キロも離れている。近くのダイヤモンド鉱山で働く住民はいるが、安定した働き口は極めて少ない。細々とした狩猟や漁業はあるが生計を立てるには苦しく、失業率は8割にのぼる。10~14人もの大家族が2~3部屋の家で住むケースが多く、学校に入っても卒業までたどりつくのは3割ほどしかいないという。
性的虐待も一因に
自殺を図ろうとした住民の年齢は11歳から71歳と幅広いが、とりわけ若者たちが多い。
「いじめや薬物中毒、身体的・性的虐待など、いろんな理由で追い詰められていく」。親類にも自殺未遂者がいるというシシーシュさんは、地元テレビにそう説明した。
地区は「非常事態」を宣言し、援助要請を受けた政府は精神医療チームを派遣するなど対応。トルドー首相は「心が痛む事態だ」とツイッターにコメントし、メディアの注目を集めることになった。
ただ全人口の数%と少数派の先住民の自殺問題は、カナダ社会が長年抱えてきた暗闇だ。